12. 遺伝子と行動
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1. セントラルドグマ
名声を得た人を多く輩出する特定の家系があることに着目 学習の手続きによって子どもをどんな職業の人にでもしてみせると述べた 現在では、どのような行動や精神機能であれ、遺伝と環境のどちらも及んでいると考えられている
DNAが含む情報の一部を写しとったもの
DNAからmRNAへと情報が写し取られること
mRNAの情報をもとにタンパク質が合成されること
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遺伝情報の流れに関する原理のこと
どのような生物も遺伝情報はこの転写と翻訳という過程を経てタンパク質合成へと進むという点で共通する
つまり、私達が親から受け継いでいる遺伝情報は、タンパク質の構造(アミノ酸配列)に関する情報ということになる 2. 染色体とDNA
人間は約60兆個の細胞でできており、大部分の細胞には46本の染色体が含まれている(精子や卵は23本) 46本のうち23本は父親の精子から、23本は母親の卵から受け継いだもの 受精卵が細胞分裂を繰り返して一人の人間になるわけであるが、細胞分裂に先立ち染色体の複製が行われるため、一人の人間を形成する60兆個の細胞に含まれる染色体は、どの細胞も同じ組み合わせのもの 染色体は細胞の核に存在してる
男女にかかわらず共通に有している染色体
長い方から番号が付けられている(第1染色体 ~ 第22染色体)
男女間で組み合わせの異なる染色体
XX: 女
XY: 男
遺伝情報を含むDNAと、DNA分子が巻き付いているタンパク質(ヒストン)からなる DNA(デオキシリボ核酸)の構造
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デオキシリボースを塩基と結合している部分の炭素(C)を1番として1'と表記し、連なる炭疽を順に2', 3', 4', 5'と表記する DNAヌクレオチドが一列につながるとき、5'の部分と隣のDNAヌクレオチドの3'の部分が結合する
1列につながったDNAの両端のヌクレオチドだけは結合相手がいないため、5'末端および3'末端ができる
DNA分子には向きがある
遺伝情報は5'→3'で読まれる
ヌクレオチドが一列につながるということはそれぞれに含まれる塩基の並びが生じるということ
向かい合ったDNA分子の内側にそれぞれの塩基が相対する形となっており、塩基同士が水素結合している 各塩基の結合相手は決まっている
3. RNAからタンパク質へ
各タンパク質の構造(アミノ酸の配列)を表す情報単位のこと 人間では約2万2000個の絵遺伝子があるとされる
1つの遺伝子をコードしているDNA部分から必ずしも1種類のタンパク質のみが合成されるとは限らない
生殖細胞を除くすべての細胞は同一の染色体の組み合わせが含まれる
どの細胞においてもすべての遺伝子という設計図が含まれている
どの遺伝子から実際にタンパク質がその細胞で合成されるかは、細胞の種類やそのときの細胞の状況によって決まる
アミノ酸構造の情報を含むDNA部分よりも5'側(上流)にある、その状況を感知するDNA部分
プロモーター領域と細胞内状況との相互作用によってタンパク質合成がされるかどうかが決まる
下流領域(3'側)にコードされているタンパク質を発現する引き金となる信号が到達したら、酵素の働きによりDNAヌクレオチドの並びを鋳型としてRNA(pre-mRNA)へと転写される DNAヌクレオチドとの構造上の違い
最初にDNAからRNAへと転写されてできた一次転写産物はエキソン部分もイントロン部分もそのまま転写されている
アミノ酸配列が符号化されいてる部分
アミノ酸配列情報が含まれない部分
イントロ部分が切り出され、エキソン部分だけがつなげられたRNA(mRNA, (成熟mRNA))が作られる mRNAは核外に出て、リボソームでその塩基配列が順次5'から3'の方向に読み出される
核の外でタンパク質合成に関わるリボソームの一部を形成する アミノ酸情報は塩基の3つの一組で符号化されている
$ 4^3=64なので20種類のアミノ酸を含めるには十分
1960年代にこの塩基の3つの並びとアミノ酸との対応関係が明らかにされた
コドン単位で次々とそれに対応したアミノ酸がtRNAによって運ばれ数珠つなぎされ、タンパク質が作られていく mRNAの塩基配列に従って適切なアミノ酸を一つずつリボソームにもたらうす
タンパク質合成を終了する合図となるコドン(UAAなど) 2003年に終了、2004年に結果の修正版
ある動物種の遺伝子1セットをまとめて呼ぶ言葉
私達は父親から1ゲノム、母親から1ゲノム受け継いでいる
ただし、前述のようにDNAに含まれるすべての遺伝情報がタンパク質へと合成されているわけではなく、実際に遺伝子が発現するかどうかは細胞内外の環境に大きく左右される
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今後は遺伝子発現調節機構の解明が重要な研究テーマになってくるだろう 4. 生理心理学における分子生物学的手法
分子生物学的手法を用いて、タンパク質レベルので変化が行動に及ぼす影響を調べる研究が1990年代以降盛んに行われている
もともとその動物がもっている正常な遺伝子に加えて新たに外来遺伝子を導入した動物のこと
その動物が本来持っている遺伝子の一部を破壊した(ノックアウトした)動物のこと これらの動物の行動を野生型の行動と比較することにより、ある特定のタンパク質の機能を明らかにしようとするアプローチ これにより、タンパク質単位で動物の行動との対応が調べられるようになった
ノックアウト動物を用いた実験の問題点として以下の点が指摘された
重要なタンパク質を欠損させた場合に動物の生命に関わることがあり、そもそも生まれてこない
あるタンパク質を欠損させた際に別のタンパク質がその代わりを果たしてしまう
ある特定の脳部位に関してだけ遺伝子改変を行うことも当初はできなかった
現在ではこれらの問題はかなり克服された
部位特性に関して
プロモーターを工夫することによってある遺伝子改変操作がある特定の細胞環境でのみ生じるようにしたもの 時期特異性に関して
生きている動物にウイルスベクターを用いて後天的に遺伝子導入する方法もある 遺伝子を運ぶ運搬者という意味
ウイルスが本来持つ遺伝物質の代わりに、実験者が発現させたいタンパク質の情報をもつDNAなどに組換えたウイルスを動物の脳に局所的に注入して感染させると、感染した細胞においてその遺伝子が発現することになる